校訂方針(要約)

              

批判校訂の際、本来であれば利用可能なすべての楽譜資料を参照できることが理想的です。「原典版 Urtext-Edition」を作る際、まずはじめに校訂の対象とする資料の選別を行います。その際、関連するすべての資料が篩にかけられなければなりません。その作業は、古典文献学におけるテクスト批判の用語で「エグザミナツィオ」と呼ばれています。この行程を経て校訂作業を行うにはしかし、膨大なコストと時間がかかるため、今日「原典版」とよばれるすべての楽譜の校訂作業の際に、この行程が確実に踏まれているわけではないのが実態です。

 

フランツ・ベンダ協会が編纂し公開する楽譜は、個々の原典の現代譜化のうちに、批判校訂の過程を含んだものです。すなわち、現代譜化の過程において、原典には欠けているが補われるべき諸指示や諸記号--例えばスラーや強弱指示など--が、校訂作業の規則に沿って補われています。私たちが公開する譜面はそれゆえ、「原典版」ではなく、「批判校訂版」として理解されうるでしょう。

  • フランツ・ベンダ(1709-1786):オンライン作品全集の校訂方針 (公開のため準備中)